狭山火入れって何？香りの特徴と相性の良い食べものを紹介

狭山茶は他の産地と比べて特徴的な味わいや香りを持っています。
中でも特徴的なのが「狭山火入れ」と呼ばれる香りです。

この記事では、そんな狭山火入れの特徴から、狭山茶の特徴を活かした料理とのマリアージュまで解説をしていきます。

そもそも、火入れって何？

緑茶を作る工程は、大きく一次加工と二次加工に分けられます。

まず、一次加工では、摘み取った茶葉の発酵(酸化)を止め、茶葉のきれいな緑色を維持した上で、温度水分を飛ばしながら茶葉を揉みながら加工をしていきます。
一次加工でできた茶葉は荒茶(あらちゃ)と呼ばれます。

そして、一次加工された茶葉を最終製品に仕上げる工程が二次加工です。
二次加工では、荒茶から木や茎などを取り除き形を整えた上で、再度加熱して乾燥させます。
この最後の加熱・乾燥の工程が「火入れ」です。
二次加工が完了したお茶が、わたしたちが購入するお茶で、お茶の業界では「仕上げ茶」と呼ばれています。

荒茶から仕上げ茶にする工程が、二次加工、その二次加工の工程の中に火入れがあるということですね。

狭山火入れの特徴とは？

お茶を作る上で一次加工が重要なことは言うまでもありませんが、二次加工、とりわけ火入れの工程はお茶の味わいや香りを決めるうえで非常に重要で、お茶を作る者の腕の見せどころでもあります。

一般的に80℃程度で火入れが行われることが多い中、狭山茶は100℃程度の温度で火入れを行います。
高温で火入れを行うことでつくられる香りの特徴、それが狭山火入れの正体だったのですね。

狭山火入れの香りの特徴とは？

では、高温で火入れをすると香りはどのように変化するのでしょうか？

参照した論文によると、高温で火入れをすることで、甘い香気(マルトールやシクロテン，4- ヒドロキ シ -2,5- ジメチル -3（2H）- フラノン)や香ばしい香気(2- エチル -3,5- ジメチルピラジンなどのピラジン類)が増加すると言われています。一方で、低温で火入れをするとグリー ンな香気( 4- メルカプト -4- メチル -2- ペン タノン)が際立ちます。

つまり、高温で狭山火入れをした狭山茶は、甘さや香ばしさといった香りが特徴のお茶に仕上がります。

狭山茶と料理のマリアージュ

上で説明した甘みの香気成分マルトールはキャラメルを想像させるような甘い香りです。
また、ピラジン類の香気成分は揚げ物の香ばしさにも含まれています。

このような狭山茶の香気成分の特徴を活かして、狭山茶を甘いお菓子と一緒に楽しんだり、揚げ物と一緒に楽しむことで、香りの特性を合わせる「同調」というティーマリアージュを楽しむことができます。

ティーマリアージュについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。

また、同調だけではなく、甘いものと合わせると意外と美味しいもの(ファミチキ等)や、少し焦げると美味しいもの(チーズ等)、と一緒に楽しんでみるのもおすすめです。きっと、狭山茶の特徴と食材の特徴が補完しあい、味わいや香りをより一層深めてくれます。

おすすめの狭山茶

狭山茶を飲んでみたい！そんな方にはこちらのお茶がおすすめです。

飲みやすいティーバッグタイプのお茶が少量入ったこちらの商品はお値段もリーズナブル。
狭山茶をちょっと試してみたいというときにおすすめです。
茶ハガキといって、お茶の袋の裏側がハガキになっているのもこちらの商品の特徴です。
狭山茶を気に入ったら、この茶ハガキに住所を書いて大切な方に送ってみるのも良いですね！

この記事では知っているようで知らない狭山火入れの特徴を、お茶の加工、香気成分、料理とのマリアージュの観点から解説しました。
今後も、様々な視点から狭山茶を深掘りしていきますね！

参照: 高橋淳, 「北限のお茶の伝統を引き継いだ狭山茶の香り」, J. Japan Association on Odor Environment Vol. 46 No. 2 2015