1杯の緑茶を作るために必要な茶の木は1.4本!-必要な茶畑の面積とお茶の木の本数を計算してみた

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お茶を飲んでいるときに「このお茶をつくるのにどれくらいの大きさの茶畑が必要なんだろう?」と疑問に思ったり、新幹線で静岡を通過する際に茶畑をみて「あの茶畑からどれくらいのお茶ができるんだろう?」と想像してみたりしたことはありませんか?

この記事では、そんな疑問にお答えしていきます。

結論からいうと、300ml程度の普通サイズの急須で抽出するためのお茶を作るために、約781.3平方センチメートルの面積の茶畑が必要です。

A4サイズの紙が約623.7平方センチメートル、私達が使い慣れているB5サイズのノートを開いた状態が約902.2平方センチメートルですので、ざっくり、A4サイズよりも一回り大きいくらいという感じです。

この面積を茶の木の本数に換算すると、300ml程度の普通サイズの急須で抽出するためのお茶を作るために必要な茶の木は約1.41本です。

おおよそ相場感が掴めたと思いますので、この数字の背景をご説明します!
この数字に隠されたトリック?もご紹介しますので、是非最後まで読んでみてください。

農林水産省で発表されているデータ(※1)によると、令和5年(2023年)の10アールあたりの茶葉の生葉の収穫量は448kgでした。
収穫された生葉は、その後製品の茶葉に加工される過程で茶葉の中の水分が減少し、約20%の重さになります。
つまり、10アールあたりの茶畑から、448kg×20% = 89.6kgの茶葉ができあがります。

300mlの急須でお茶を抽出する際に必要な茶葉の量は7g~10gです。
ここでは7gの茶葉を使用すると仮定して計算します。

89.6kgは89,600gですので、7gのお茶の栽培に必要な茶畑の面積は以下のように求められます。

10アール × 7g ÷ 89,600g = 0.00078 アール

1アール = 100平方メートル = 1,000,000 平方センチメートルですので、0.00078 × 1,000,000 = 781.25 平方センチメートルとなります。 

以上の計算から、7gの茶葉を作るために必要な茶畑は約781.3平方センチメートルで、おおよそA4サイズの一回り大きいサイズということが計算できました。

では、781.3平方センチメートルの中にお茶の木は何本あるのでしょうか?
農林水産省の資料(※2)を参照すると、お茶の苗木は10アール当たり約1,800本必要と記載されています。

ですので、以下の計算から、お茶7gを作るのにお茶の木約1.41本が必要ということがわかります。

1,800本 × 781.25 ÷ 1,000,000 = 約1.41本

【まとめ】

普通サイズの急須で抽出するためのお茶をつくるためには、A4サイズより一回り大きい程度の茶畑の面積が必要で、茶の木の本数は約1.41本必要です。

みなさんの想像と実際の数字にギャップはありましたか?

余談ですが、「急須1杯分のお茶を作るためにA4サイズ程度の茶畑が必要です」と言われるのと「急須1杯分のお茶を作るために茶の木が1.41本必要です」と言われるのでは、後者のほうが壮大な感じがしませんか?私達が「木」と聞いて街中の木のサイズを無意識に想像してしまうので、木が1.41本必要と聞かさせると大きく感じてしまうのかもしれませんね。

ちなみに、今回計算したお茶の葉の収穫量は、5月頃に収穫される1番茶と言われる茶葉の収穫量です。お茶の収穫は、夏頃に2番茶、秋から冬にかけて秋冬番茶が収穫されます。それぞれの収穫時期で収穫量に差がありますが、静岡県経済産業部の資料(※3)では、1番茶の生産量は年間の総生産数量の約37%ですので、年間を通して考えると、今回計算で使用した数字のおおよそ3倍の収穫量があります。

さらに、急須で緑茶を入れる場合はお湯を注ぎ足して3煎ほど飲めるので、300mlの急須を使用して約900mlのお茶を抽出することができます。湯呑1杯を100mlとすると、9杯分ですね。

これらの数字をすべてひっくるめて少し意地悪な?計算をしてみると、湯呑1杯のお茶に必要な茶畑の面積は以下のようになります。

781.25 ÷ 3 ÷ 9 = 28.9平方センチメートル

名刺が約50.1平方センチメートルですので、名刺よりも一回り小さいサイズになります。

「急須1杯ぶんのお茶を作るために茶の木が約1.41本必要です」と「湯呑1杯分のお茶を作るために名刺1枚程度の茶畑が必要です」。
このどちらも間違いではないのですが、聞いたときの印象が全く違いますね。

この記事を書きながら、数字の伝え方の面白さを再発見しました。
身近なお茶を、茶葉生産の面積まで落とし込むと、新たに見えてくる世界がありますね。
今後もお茶の背景にある数字について共有していきますので、楽しみにしていてください!

【参考文献】

(※1) 農林水産省, 令和5年産一番茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県), https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/sakumotu/sakkyou_kome/kougei/r5/

(※2) 農林水産省, 茶栽培のポイント, 
https://www.maff.go.jp/j/seisan/gijutsuhasshin/techinfo/attach/pdf/cha-2.pdf

(※3) 静岡県経済産業部農業局お茶振興課, 静岡県茶業の現状, https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/027/288/cyagyonogenjyo.pdf


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