紅茶は、私たちの日常生活に欠かせない飲み物の一つですが、その製造方法にはさまざまな種類があります。今回は、その中でも伝統的な「オーソドックス製法」についてご紹介します。この製法は、紅茶の繊細な風味や香りを大切にしながら製造される方法で、特にダージリンなどの紅茶の製造に用いられています。さらに、オーソドックス製法と方を並べるCTC製法との違いについても触れていきます。紅茶の魅力をさらに深く理解するために、ぜひ最後までお読みください。
オーソドックス製法のプロセス
1. 萎凋(いちょう)
紅茶の製造は、茶葉を摘み取った後にまず萎凋(いちょう)から始まります。この工程では、茶葉を日陰や風通しの良い場所でしおれさせ、水分を約30〜40%減少させます。これにより、茶葉が柔らかくなり、後の加工がしやすくなります。
2. 揉捻(じゅうねん)
萎凋が終わった茶葉は、手作業や機械を使って揉み込まれ、茶葉の細胞が壊れて酸化発酵が促進されます。この工程により、茶葉の風味や香りがより深まります。
3. 酸化発酵
揉捻された茶葉は、次に酸化発酵の工程を経ます。この工程では、一定の温度と湿度のもとで茶葉が発酵し、紅茶特有の風味や色が生まれます。発酵時間は茶葉の種類や求められる風味によって異なりますが、慎重に管理されます。
4. 乾燥
酸化発酵が終わった茶葉は乾燥機に入れられ、酸化を止めるために乾燥されます。この工程で茶葉の水分は2〜3%にまで減少し、保存性が高まります。
5. 選別と包装
最後に、乾燥した茶葉をふるいにかけてサイズ別に選別し、包装します。
オーソドックス製法の特徴と利点
オーソドックス製法で作られた紅茶は、茶葉が大きく、ゆっくりと抽出されるため、繊細な味わいと豊かなアロマを楽しむことができます。この製法は、特にダージリン紅茶などの高品質な紅茶に適しており、紅茶の特徴を最大限に引き出すことができます。
オーソドックスとは異なる製法「CTC製法」
オーソドックス製法で作られた紅茶が繊細な風味を提供するのに対し、CTC製法で作られた紅茶は、短時間でしっかりとしたボディ感と濃厚な味わいが得られるのが特徴です。CTC製法は、大量生産に適しており、特にミルクティーやチャイに向いています。この方法はインドやアフリカなどの紅茶産地で広く採用され、効率的に紅茶を製造することが可能です。
最近話題の和紅茶はオーソドックスとCTCどちらの製法?
最近注目を集めている和紅茶ですが、実はほとんどがオーソドックス製法で作られています。その理由の一つとして、CTC製法に必要な特別な機械を持っている製茶工場が日本には少ないという現状があります。さらに、日本の緑茶製造においても用いられている「揉捻(じゅうねん)」の工程がオーソドックス製法の一部であり、日本の製茶工場にとって相性が良い点も挙げられます。
また、仮説としてですが、世界的に見て中国種のチャノキを栽培している中国、ダージリン、日本などの地域ではオーソドックス製法が多く、アッサム種を栽培している地域ではCTC製法が主流となっています。このことから、中国種の茶葉はオーソドックス製法との相性が良い可能性があるかもしれません。これは筆者の仮説ですが、機会があればさらに掘り下げてみたいと思います。茶の木の中国種とアッサム種の違いはこちらの記事で紹介していますので、ご興味がありましたら是非読んでみてください。
オーソドックスとCTC、どちらが良いお茶?
オーソドックス製法とCTC製法のお茶を比較すると、オーソドックス製法のお茶のほうが高単価で取引される傾向があります。そのため、オーソドックス製法のお茶のほうが良いと見ることもできるかもしれません。しかし、CTC製法は生産能力が高く、安価で安定した紅茶を提供することができる一方で、オーソドックス製法は少量生産で高値で提供される紅茶です。このように異なる製法がバランスを取り合うことで、紅茶市場が成立しており、紅茶が世界中で水の次に多く飲まれる飲み物となっているのかもしれませんね。
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