セイロンはコーヒーの産地だった?コーヒーのサビ病蔓延から紅茶栽培が始まった

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セイロンと聞いてコーヒーを想起する方はどれくらいいるでしょうか?おそらくごく少数で、残りの方は紅茶をイメージするのではないでしょうか?現在、セイロンは世界的に有名な紅茶の産地として知られていますが、その歴史はコーヒーのプランテーションから始まりました。

セイロンとコーヒー:知られざる歴史

19世紀半ば、セイロン(現在のスリランカ)はコーヒーの主要生産地として栄えていました。セイロンの豊かな土壌と適した気候条件により、コーヒーはセイロンの主産業として成功を収め、多くのプランテーションが展開されていました。

サビ病の蔓延:コーヒー産業の危機

しかし、この繁栄は長く続きませんでした。1860年代後半、セイロンのコーヒープランテーションは「サビ病」と呼ばれる恐ろしい病気に襲われました。サビ病は、コーヒーの葉に斑点を生じさせ、最終的には木全体を枯らしてしまう致命的な病気です。この病気はセイロンのコーヒー産業に壊滅的な影響を与え、多くのコーヒープランテーションが荒廃し、経済的な打撃も非常に大きかったのです​​。

紅茶への転換:スコットランド出身のジェームス・テイラーの功績

この危機的状況の中で、農園主たちは新たな作物を求め、紅茶に注目しました。スコットランド出身のジェームス・テイラーが、セイロンにおける紅茶栽培を成功させたことで、セイロンはコーヒーから紅茶へと移行することになりました。テイラーは、アッサム種の茶をセイロンに持ち込み、栽培を開始しました。この試みは見事に成功し、セイロンは紅茶生産地として再び脚光を浴びることとなったのです​​。

「セイロン紅茶の神様」として称えられたジェームス・テイラー

紅茶の栽培で救われたセイロンの人々は、ジェームス・テイラーを「セイロン紅茶の神様」として称え、その功績を深く尊敬しました。彼の努力と革新によって、セイロンは経済的にも復興し、世界的に知られる紅茶の名産地となったのです​​。

嗜好飲料の裏にある歴史:ワインと紅茶の共通点

ワインの世界でも、生産者に壊滅的な被害を及ぼす病気が流行った過去があります。それがフィロキセラという害虫による被害です。フィロキセラ被害がフランスで初めて観測されたのが1860年代前半とされていますので、コーヒーとワインを苦しませる被害がほぼ同時に発生したのですね。ワイン業界はこの危機を、フィロキセラに強いブドウの樹に接ぎ木をするという方法で乗り切りました。

ワインとコーヒーが大好きな方もいると思いますが、これらの嗜好飲料が過去に同時に危機に瀕していたと思うと、少し恐ろしいですね。病気は作物にとっても大きな影響を及ぼすものなのですね。このような歴史を知ると、普段美味しく飲んでいる嗜好飲料も植物であり、命であることを改めて思い知らされます。筆者も、この記事を書きながら、嗜好飲料を当たり前に楽しむことができる現実に改めて感謝しました。


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